地元を出て世間を知ってから、私は食べるのが大好きになった。
というのも、学生時代は給食も味わって食べるというより、急いで詰め込まなきゃという気持ちのほうが強かったと思う。食べるのが人より遅くて、そのくせすぐにお腹が空いて、授業中にグゥ~と腹の虫がなるから恥ずかしかった。食事の時間はいつしか胃袋に食べ物を詰め込む作業と化していた。
変わったのは一人暮らしを始めてから。実家にいたころは、ほとんどおばあちゃんが作ってくれていて、仕事が早く終わった日はたまに自炊する程度だった。一人暮らし最初の夕飯はよく覚えている。近くのスーパーでゆでうどん1袋とめんつゆ1本だけ買ってきて、鍋で煮ただけの素うどんだ。味はいまいちだったけど、とても満たされた気分だった。
味覚の変化も起きた。アルバイト先の先輩と雑談していて、話の流れは忘れたけれど、私は紅茶が苦手だと言った。紅茶独特の香りがだめで、小学生以来飲んでいないと。すると先輩から「売り場にリプトンの紅茶があるから買って飲んでみろ」「今は飲めるかもしれないでしょ?」と言われて、確かにそうだなと素直だった私は、季節限定のブドウの紅茶を買って恐る恐る飲んでみた。え、うまいじゃん。あっさり受け入れられた。
そのあとも、苦手だったブラックコーヒー、ビール、魚の刺身など食べられるものが増えていった。今では朝にブラックコーヒーをキめないと1日活動的になれないし、居酒屋の最初の一杯はビールで、お供はお刺身だとなお良い。
大人になってから味覚が変わるのは、子供のときより味覚の感じ方が鈍くなるみたいな話を聞いたことがある。コーヒーやビールの苦みが美味いと感じるのも、鈍くなったせいらしい。
カフェ巡りをする趣味も増えた。お店によってコーヒーの香りは違うし、ウィンナーコーヒーのクリームも違う。コーヒーフロートのアイスが美味いお店もある。お気に入りのお店は、らんぷ珈琲としまうま珈琲。
らんぷ珈琲は苦みが強く香りが好み。レギュラーコーヒーもいいが、ウィンナーはクリームがおいしくてホットでもアイスでも大好き。モーニングサービスもうれしくて、ドリンクを頼めば豊富な種類のトーストから1枚無料でサービスしてくれる。エッグトーストが好みかな。ほかの軽食も味のクオリティが高くて、幸せな気持ちにさせてくれる。お店も店員さんも雰囲気がよくて、落ち着ける空間だ。
しまうま珈琲は味わいすっきりと飲めるコーヒーで、コーヒーフロートのバニラビーンズ入りのアイスがおいしい。モーニングは3種類から選べて、トーストやサラダ、たまごも食べられる。おすすめはクロワッサンのセット。外側はさくさく生地で中はしっとり系。追加料金でもう一個食べたくなってしまう。ランチメニューも豊富で、大好きな鉄板ナポリタンやカレーを食べた。やはり美味。だが外せないメニューはデザート。アップルパイは焼き上がりに30分かかるが、待つ甲斐があるおいしさだ。さくさく生地に程よい甘さのとろとろなリンゴ、あたたかいアップルパイの上に鎮座する冷え冷えのバニラアイス。待つのが苦手な私でも焼きたてを食べられるならと、コーヒーを飲みながらゆったりする余裕が生まれるくらいにおいしかった。
カフェの話で盛り上がってしまったが、しょっぱいもので言うとラーメンも大好きだ。
ラーメンはしょうゆと塩くらいにしか思っていなかった自分だが、お店によっても地域別でもとても奥が深い。栃木で有名なラーメンといえば佐野ラーメンが思いつく。スープはあっさりな塩で黄金色、麺は細すぎず、太すぎないちぢれ麵。チャーシューもトロトロで定番のトッピングが載っている。万人受けしやすいラーメンだと感じた。
栃木はラーメン屋さんが多かったが、二郎系のラーメンを出しているお店も多かった。にわかで申し訳ないが、通常サイズでも大盛級で、濃厚こってりなスープに極太のちぢれ麺。山盛りのもやしに分厚いチャーシュー。さらにはニンニク、背脂が大量に入っているのも二郎の特徴だろう。私は通常サイズで食べ過ぎたと感じるがもやしはスープと絡めると、とても美味い。栃木から東海に引っ越してから思ったが、東海では二郎系の専門店が少ない。その代わりに豚骨ベースのラーメンや辛めのまぜそばが多いように思う。東海で食べた二郎系はスープが甘かったり、かなりしょっぱかったり両極端だ。東海ではあまり浸透していないみたいだ。豚骨はめちゃくちゃ美味い。地域差が良く出てるな~と思った。今度はまぜそばも食べてみよう。
いろいろ脱線した気がするが、今は食事を楽しんでいる。いろんな地域に遊びに行ったりもするから、ご当地のごはんやお酒をたしなむ楽しみも増えた。また、ごはんについて書こうかな。
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